中学受験の親の必読書と言われている漫画、二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (1) (ビッグコミックス)、しっかり取材されてると思います。
私も小学校の4年間、進学塾に通いましたがここに書かれているような成績順のクラス分けがあり、月ごとに成績によって6段階のクラスに振り分けられて授業を受けていました。
中学受験を考えていて、進学塾に通うことを検討されている方にはオススメです。
さて、この春、我が家の第一子9歳が小学3年生に進級しました。
昨年末から少しずつ情報収集をしていたのですが、一般入試で中学受験に挑戦することを決めたので、その経緯について書いきます。
中学入試を考えたきっかけ
バンコクに住みはじめて、この春で4年目に突入しました。保育園の年長組の6歳だった長男は9歳になり、小学3年生になりました。
当初2年だった駐在予定はいつの間にか無期限延長となり、3年経って子供達のタイ語や英語もずいぶん上達し、学校にも楽しく通えるようになってきました。
しかし、いずれは日本に帰り、日本人として生活することを考えると時期未定な父親の帰任時期を待つのではなく、子供のタイミングで帰国することを検討しなければならないと考えるようになりました。
子供の日本への帰国時期について
まず、海外生活に帯同できるのは18歳までです。
そして、海外生活が、長男の進学に有利な時期に開始し、終了するとは限りません。
夫は職業柄、今後も海外生活が続いていくことが想定されます。その中で、長男は小学校卒業まで帯同するか、中学卒業まで帯同するか、高校卒業まで帯同するか、どこかを境に日本に戻るまたは海外の大学に進学するという選択肢を取ることになります。
小学生の時点で得られる視野や経験、能力が小学生レベルのものであるように、中学生であれば中学生レベル、高校生であれば高校生レベルです。
もし、中学受験を機に日本に帰り、そこから大学入学まで日本で過ごすと決めてしまえば、今後は海外生活を送ることは難しいため、海外における視野も経験も、小学生レベルでストップしてしまいます。
しかしながら、それは日本や日本語に対しても同じことが言えます。
海外滞在期間が長くなれば長くなるほど日本語や日本への適応能力は加速度的に落ちてしまいます。
家族で考えた結果、大人としての責任が生じる成人年齢が18歳となった今、5月生まれの子供にとって高校受験を機に日本に定住するとなると日本での準備期間がたったの2年間しかないことから、
今後の人生を長く過ごすであろう日本の教育を受け、文化を学び、将来に備えるためには中学の時点で帰国することが最善であると判断しました。
私は中学卒業後、夫は小学校卒業後から寮に入って生活していたことため、中学受験をすることにも、小学校卒業後から離れて過ごすことにも抵抗はありません。
親が子に対して与える影響は幼児期であればあるほど大きく、学習面においてフォローしてあげられるのは小学校を卒業するまでが限界だと考えています。そのため、その期間を家族で過ごすことが重要だと考えてます。
中学受験をする目的
なぜ公立中学ではなく私立中学を受験をするかについてですが、理由は3つあります。一つは、中学受験を通して、小学校卒業レベルの日本語をしっかり身につけさせたいことです。
もう一つは、海外子女受け入れある学校に行くことで、日本の独特な慣習に慣れていない子供にとって馴染みやすい環境が得られるとたこと。
最後に、学校選びの選択肢が高校受験よりも中学受験のほうが圧倒的に多い事です。
高校受験、大学受験からでも…と思いましたが、そこからもし夢を持ったとしても、数年で日本特有の学習において一定の成果を収めることは困難を極めます。
それほどに、インターナショナルスクールのカリキュラムは日本人のものとは異なるからです。
祖国で暮らすための権利を育むためにも日本人としての高い日本語能力は必要不可欠です。
しかしながら、海外在住でインターナショナルスクールに通う今、日本語は全く必要ありませんし、日本語が上手になることにメリットもありません。日本語力は落ちていく一方です。
受験という一つのゴールを設定し、励むことによって一定の定められたレベルの日本語と一般常識の習得が可能になるのではないかと考えています。
志望校について
インターナショナルスクールに通う子供は日常で日本語に触れる時間が圧倒的に少ないことから、勉強開始時期が遅くなればなるほど圧力を感じながら勉強しなければならなくなります。
難関校を志望した場合、浪人が許されない中学入試では手遅れになってしまう可能性もあります。
本人が志望する学校ができた時に成績により進学を諦めないようにするためにも、この時期から勉強を開始するのが適切であると考えました。
学校選びですが、私が中学受験をした2001年からこの20年で多くの新設校ができているので、これからしっかり吟味しながら決めていきたいです。
帰国子女入試について
そもそも帰国子女入試とは
帰国子女とは各学校によって規定が多少異なりますが、多くは下記のように規定されています。
- 海外滞在年数が継続して2年以上であること
- 帰国後1年以内であること
帰国子女入試とは、日本に住む子供達に対して行われる入学試験(一般入試)とは別枠で設けられた帰国子女のみが受験できる特別な入試選抜方式です。
帰国子女入試ではこの帰国子女に対して一般入試とは別の選抜方式で行われる試験です。
毎年情報更新があり、インターネットではなかなか情報収集できないのが現状です。
海外子女教育振興財団や、入試問題集の出版社である東京学参が帰国子女の入学・編入学についての本を出しているので、1度目を通しておくことをお勧めします。
帰国子女の試験内容
帰国子女の試験内容は学校によって異なります。ただ、帰国子女入試と言われるだけあって、英語のみまたは英語と国語などといった一般入試と比べて英語の比重が多く、別の科目の試験が免除されることが多いです。
帰国子女入試の現状
現在、帰国子女の総人口が増えており、一般入試と比べて科目が少なく取り組みやすい帰国子女入試は狭き門となっているそうです。難関校を目指すなら英検一級レベルの英語力が必要となります。
中学受験で証明する必要があるということは、小学6年生の春までに合格しておかなければならないということですね。もう、特殊技能ですよね。
少し前なら英語ペラペラ=すごい!だったけど、今年からは日本の小学校でも英語の授業が始まるし、日本のインターナショナルスクールに通わせている方も増えているし。英語が話せるということだけではあまり付加価値はない。じゃあタイ語も話せるから何か加算があるかというと、それもない。(笑)
我が子が通っているのは第三言語の国のインターナショナルスクールということもあり、おそらく世界中に散らばった日本人のライバルの中で抜きん出た英語力というものは身についていないです。
だからこそ、帰国子女だから帰国子女入試。と言う安易な考えではなく、日本語で日本で勉強している子供たちと一般入試で対等に戦っていけるように、短時間で圧力をかけなくて良いように今から長い時間をかけて勉強していく必要があると考えています。
海外で働き、学んで感じた”日本経験”の重要性
社会に求められる日本人性
これは、私自身がバンコクで2年間現地採用として企業に就労して感じたことですが、私たち日本人が海外で働く場合、ひとつのポジションを争う相手って大方日本人なんですよ。
日本人ってコストの高い先進国の人間なので、そのポストの仕事が日本語の必要ない、非ネイティブの英語人材を募集するものであれば、私たちは英語の得意で私たちより学歴の高く、コストの安い優秀な現地人やフィリピン人、インド人、ミャンマー人に絶対に勝てません。
ネイティブのポストだったら、アメリカ人とイギリス人には勝てません。
私たち平成初期に生まれた人間にとって、英語が話せるということは希少でかつとても大きな価値があることで、実際、英語ができない人のポストはかなり少ないです。
ただ、社会は私たちが思うよりも私たちに日本語をうまく用いることを求めているので、それをおろそかにしていては元も子もないです。
職業選択は日本が一番充実している
例えば医師、獣医師、歯科医師など大学で国家試験資格取得を得られるような難関学部を志したいと考えた時、外国で育った人間が高校から日本で勉強して大学進学を目指すとなると、かなり難しい選択肢になります。
海外で取得するとなると、国籍という大きなハードルにより、より困難となります。
もちろん、インターナショナルスクールに通うことで他の職業の選択肢としては選択範囲は広がる可能性もありますし、息子たちが大人になった時には今はない仕事があると思います。
しかしながら、日本人は日本以外の国でいくらお金を稼いでも、外国人は外国人、ビザなしには滞在できず、職業にも行動にすら規制があります。
学校に行くにも外国人料金、資格を取るのも超困難か不可能です。
国が国の経済活動を維持のために国民を尊重するのは当然で、これからも、どこの国であっても、そうあり続けると思っています。
我が子は日本国籍の日本人なので、日本で生きることが一番楽で快適です。日本人であるという理由で差別されることなく、資格の取得や進学先、就職先、職業の制限もないのは日本だけです。逆にその他の国であれば、どこの国であれ何かしらの制限が発生します。
これまでいろいろな日本人が世界で素晴らしい活躍をし、名を残しましたが、理不尽な理由で夢を諦めざるおえなかった日本人がその何倍もいるはずです。
そんなことを考えると、中学受験を通して人生の選択肢を確保しておきたいです。
ネイティブにはなれない
インターナショナルスクールに8歳息子は丸3年間通っており、毎日しっかり勉強していますが、この生活を成人まで続けなければネイティブにはなれないと実感しています。
一般的な成人の持つ高校卒業・大学卒業レベルの語彙力を持って日本語と同じレベルに英語を操れるようになるためには、高校または大学の期間を海外で生活し、英語を使って生活することで訓練する必要があります。
本人が望めば不可能ではないですが、今のまま英語の学習だけを続けるということは日本語に大きな影響を及ぼします。
大学から日本の大学に入学することができれば、社会人になってから日本の会社に入社ができれば苦労はするものの日本人としての日本語や習慣を身につけることは可能だと思います。
しかし、果たしてその状態で入学できる学校が見つけられるのか、入れる会社があるのか、帰国子女が増えて特別扱いをする風潮がなくなり、日本にいても気軽に英語を学ぶことができるようになり、英語が話せることが特別なことではなくなった現在、それはとても大きな賭けになってきます。
その母国語の危機を冒してまで英語の学習・英語による学習を続けることに、私たちは意味を見出すことができませんでした。
最後に
インターナショナルスクールに通う長男は今の時点で日本語だって読む機会は少ないし、漢字だって覚えこぼしがあります。
それって仕方ないことなんです。でも、今仕方ないで過ごしてたら後々取り返しをつけるのにものすごい労力を要することになります。
それを避けるためにも、少しずつ情報収集して、子供とともに人生の方向性を考えていきたいと思います。
それでもインターナショナルスクールに通うメリットはあると考えているので、次回はそれについて書いていこうと思います。
同じ4人のお子さんを持ち、さらに全員を東大医学部に導いた佐藤ママ。リスペクトしてます。笑



